七世紀の玄奘三蔵による仏教経典取得の旅行記『大唐西域記』から生まれ、その後民間で発達した説話を、明代になってまとめた中国四大奇書の一つ。第1巻は、悟空の誕生から、天宮で傍若無人に振舞うさまを描く。各冊十回ずつを収録。
ミステリじゃないけど、冒険小説でいいんじゃないかな、あっという間に読み終えましたよ (^_^.) 「西遊記」 岩波文庫 2005/04 改版 1)東勝神洲傲来国は花果山にて石の卵から生れたサル。やがて仙術を身につけ故郷で王様になるも飽き足らず、招かれ出向いた天界では札付きの問題児。不老長生の蟠桃を盗み食い、玉帝の宴席を荒らして大暴れ。とうとう如来さまの手で山に封じられる。おなじみ孫悟空が新たな力を得ての活躍ぶり、まずはその誕生の様子から。 2)ありがたいお経をいただきに、天竺めざして旅立つ玄奘三蔵。しかし、たちまち2人の従者は妖魔につかまり頭から食われる始末。苦難の道へ心細く踏み出すその時、聞こえてきたのは「お師匠さまが来たぞ!」というばかでかい声。それは、お供をすべき取経僧を待ちわびる孫悟空のよろこびの叫びなのでした。 3)流沙河の水怪であった沙悟浄を従え、ますます賑やかな一行。しかし、団体さんにもめごとは付きもの、つぎつぎ現れる妖怪を悟空はかっこよく始末するが、荷物かつぎの八戒は面白くない。雄ブタの嫉妬は禍のもと、うそをふきこまれた三蔵は、師匠思いの頼れる一番弟子を破門し、みずからを厄難の渦中へ投じる。 4)長くご好評いただきました『西遊記』、旧版では途中、第4巻から訳者変更がありましたが、1月から刊行される新版はすべて中野美代子訳となります。ありがたいお経をいただきに苦難の道を進む玄奘三蔵を守って、おなじみ孫悟空の縦横無尽の活躍ぶり、どうぞ最後までおつきあいください。 5)取経の旅もようやく半ば、蕩々たる通天河を前に、一行は法事の席の御馳走にあずかる。聞けば、そこに棲む魔王のお供えとなる子どもの法要なのだという。早速悟空は男の子に、八戒はめんこい女の子に姿を変えて、化けもの退治。翌朝、都合よく凍った河を渡ろうとするその時、三蔵の足もとが突然バリバリ割れる。 6)春うららの中、歩き続けた一行は、澄み切った、とある小川にたどりついた。のどの渇きをおぼえた三蔵法師と八戒はたまらず水を口に含む。これこそ西梁女人国の子母河、一口飲めば子を宿すという。またしても孫悟空の働きで一同窮境を脱し、火焔山へとむかう。 7)火焔山の炎をおさめ、祭賽国を乱す妖怪をとらえ、道々、恩沢をもたらしつつ歩を進める一行の行く手にたちはだかるは荊棘嶺。八戒はおおまぐわを振り回し、悟空とともにいばらをかきわけ、夜を日に継いで師匠を導く。またも日が暮れかかるころ、折よくあらわれた廟の前で馬を降りた三蔵を、一陣の妖風がさらう。 8)火焔山の炎を収め、祭賽国を乱す妖怪を捕えた一行の行く手を次に遮るは荊棘嶺。弟子どもはいばらの道をかきわけ、夜を日に継いで師匠を導く。またも日が暮れる頃、馬を降りた三蔵を一陣の妖風がさらう。 9)三蔵の凶星はいまだ消えず。鎮海禅林寺でわずらいつくと、すっかり気弱になり、唐の天子に遺言を書く始末。またも弟子たちに手をひかれ、ようようたどりついた先は滅法国。そこでは和尚一万人を殺すという国王の願掛けが、あと四人でめでたく満願になるところ。一行は頭巾であたまをつつみ、長持にもぐりむ。 10)里を行くものは九九九里をもって半ばとす、とて、ようよう西方み仏の地に足を踏み入れた一行、平穏無事の旅はまことに極楽の地を行くごとし。どっこい、苦難の旅の終りも間近、大天竺国にて国をあげて賑やかなその日、婿選びの綉球投げにて三蔵を狙うのは、取経の聖僧を待ち受ける、国王のにせ公主であった。
by biomasa
| 2005-08-24 10:33
| ★★★未満
|
ファン申請 |
||